ユニバーサルカラーとお子さんの色覚について
こんにちは エクリュ色彩検定講師の室谷です。卒業、入学の季節ですね。入学のお祝いなどを選ばれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
お子さんの色覚について、今日はちょっと考えてみました。
色の好みの変化や色覚特性についてです。
ピンク色は女の子が好きな色というイメージですが
日本色彩研究所による2014年の調査によると、
女子は、幼稚園・保育園時代に好きだったピンクは卒業して、小学生以降は
「落ち着く」「やさしい」「大人っぽい」
水色、薄紫色に好みが変化していく傾向がみられる。
とのこと。
(時代とともに変化するので、2021年はもっと多様性があるかもしれません。お国柄も出ますね)
最近では水色のランドセルを持つ女の子も見かけるようになりましたので
我が家の長男はバインダーの色を選ぶ際に
「水色は女子の色みたいだから」
と言っていました。
私の時代の、女の子=ピンクということではなくなってきましたね。
そのピンクですが、ユニバーサルカラーの観点、色の区別がつきにくいお子さんにとってはハードルになってしまうこともあるようです。
ピンクという色を絵の具で作ると、ピンク=【白】+【赤】+少しの青となります。赤い色が見えにくいと、グレーに近づいて見えます。そのため、ピンクの←が、背景のグレーとの区別がつきにくくなります。
たとえば、ピンク×グレーの手袋を選んで持っていて「女の子みたい」と言われて戸惑うケースもあるようです。
どのように色が見えにくいかは個人差があり、実際の見え方は他者からはわからないものです。
青色は、高齢になると白内障の進行などにより、色が見えにくくなります。その見えにくさが進行度によって個人差があります。
赤の色の区別がつきにくい場合でも、下の←の彩度の高い赤色は、わかるものの、上のピンク色の←はわかりにくいという場合もあるようです。
なので、お子さんが色の区別がつきにくいのでは?と感じることがあっても、赤鉛筆は普通に使っているからと思う場合もあるかもしれません。
女性は、遺伝の特徴で、「色の区別がつきにくい遺伝子」を保有していても、発現する可能性が低いのです。
UC級の公式テキストによると、
日本人の場合は、先天的に色の区別がつきにくい遺伝子を有する割合は5%。
遺伝の特徴で、実際に色の区別がつきにくい色覚特性が現れやすいのは男性で、
女性の場合は、発現する確率はぐっと下がります。
そのため、例えば、息子さんが色覚特性を発現していても、
「遺伝子を保有していても発現していないお母さん」 と「遺伝子を保有していないお父さん」
の場合、両親とも当事者でないので、
息子さんが何か違和感を感じて、訴えても、よくわからない場合もあるかもしれません。
以前、あるお母さんから
「息子から小学校低学年の時に信号の色が見分けにくいと言われて、気づいたものの、どんな手助けをすればよいかがわからない」というお話を伺ったことがありました。
私の長男が通う中学校では、2年生で実施される任意の色覚検査の前に、色の区別がつきにくい先生が体験談を話してくれたそうです。
男性の場合、AB型と同じ割合、20人に1人といわれていますので、
該当される先生もいらっしゃる可能性は高いです。
教育現場で体験談を話して下さったことはとても貴重だと思いました。
また、色覚特性を持つ方に対しての配慮もとても大切だと思います。
興味のある方は、色彩検定UC級の勉強をされるのも良いと思います。
色彩検定3級、2級も色覚について学びます。
エクリュ代表西川礼子著「1回で合格 色彩検定テキスト&問題集」は
色彩検定を受験される方の参考書として役立ちますよ。
新たな門出を迎える方、それを支える方達、いろいろな思いが重なる季節です。
寒暖の差が大きい時期でもありますので、どうぞお体お大事にお過ごしください。
医療従事者の方に感謝をこめて。